「オレオレ詐欺」の急増加
私だけは騙されない!!は危険
「絶対にもうかる」「あなただけに教えます」は詐欺を疑うべき。
投資家をかたるなどして架空の投資話を持ちかける「SNS型投資詐欺」と、恋愛感情などを抱かせ金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害が全国的に急増している。警察庁が12月に発表した「SNS型投資詐欺」による被害額は747億7千万円となり、前年同期比で557億3千万円増、一気に3倍以上に膨れ上がった。SNS型ロマンス詐欺と合わせた特殊詐欺全体の被害額は1059億1千万円にものぼっている。三重県内でも、被害が急増しており、県警によると、令和5年1月~11月末までに県警が認知したSNS型投資・ロマンス詐欺の被害は2821件、約25億3520万円で、被害額、認知件数共に昨年の2倍を超えた。また息子や警察官などを装った「オレオレ詐欺」も相次ぎ、316件、約10億2650万円。被害額は昨年から約3億2千万円増加した。
物価の高騰と景気低迷による先行きの不安が、投資へ目を向けさせる中で、幅広い世代へのSNSの普及が、だまされやすい環境が整って行ったと考えられる。
誰にも会わずに大金を動かすことも容易になっているネット社会。『私だけ騙されない』被害に遭わないために、そうした過信は捨て去り、常に警戒を怠らないことが肝要。
▼津市内は5億円超える被害額
SNSを利用した詐欺被害は年々深刻化し、特に投資詐欺とロマンス詐欺の手口が顕著な増加を見せている。
県警によると昨年1月から11月末までに県警が認知したSNS型投資詐欺の被害は津南署管内で4件・4460万円。津署管内で25件・3億4270万円。SNS型投資名目ロマンス詐欺の被害は津南署管内で11件・7220万円。津署管内で5件・2993万円。SNS型ロマンス詐欺(投資名目外)の被害は1件・459万円。津署管内で3件・667万円。津市でも5億円を超える被害が出ている。
▼SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺とは?
「SNS型投資詐欺」は、対面せずにオンライン上で信頼関係を構築し、投資金名目や出金手数料といった名目で金銭をだまし取る手口が主流。有名な起業家やタレントなどになりすましてSNSで多額の投資を持ちかけたり、投資家をかたってグループチャットに参加させ、架空の取引記録や“大きな利益が出ました”といったウソの投稿などで信頼させたうえで金をだまし取ったりする手口が特徴。
「SNS型ロマンス詐欺」とは、SNS等を通じて対面することなく、恋愛感情や親近感を抱かせながら「2人の将来のために投資を」「あなたと結婚するためにお金が必要」などと投資や副業に誘導し、投資金名目やその利益の出金手数料名目などで金銭等をだまし取る。
犯人は、「投資アプリ」をダウンロードするよう指示する。株や暗号資産などの取引相場を反映する投資アプリをダウンロードさせる。最初は少額の投資でスタートさせ、偽の利益を表示して短時間で何倍もの利益が簡単に出せると見せる。
配当金の支払いもあるケースもある。被害者に“こんなに簡単にもうけられるのか”と思わせる。
“もっと”という気持ちを煽る。出金しようとすると手数料など、様々な名目で新たに金を請求、さらに被害額が増える事態に陥るという。県警によると「配当があったり、アプリ上では利益が膨らむのが見て取れるため、詐欺だと気づくまでに時間がかかり、被害額が大きくなっている」という。
▼接触はSNSのみ
SNS型詐欺は、男性が被害者となるケースが全体の54・9%を占め、次いで女性が45・0%を占めている。被害者の年齢層では、50代と60代が特に多く、被害者の約50%以上を構成している。
詐欺の手段として多く利用されるプラットフォームは、インスタグラム、LINE、フェイスブックなどのSNSが中心で、最初の接触手段としてはバナー広告やダイレクトメッセージが多い。
SNS型ロマンス詐欺の被害者の62・8%が男性、37・2%が女性で、年代別では40代と50代が被害者の大多数を占めている。接触手段としてはマッチングアプリが最も多く、次いでフェイスブックやインスタグラムが挙げられ、最初の接触手段はインスタやフェイスブックだが、その後1対1のLINEやりとりに移行、被害時には97%の連絡がLINEで行われる。
金銭の受け渡しには振込や暗号資産が利用されることが多いが、近年では電子マネーの利用も報告されている。いずれも被害者と直接対面せずに金を手に入れていたという。
▽「オレオレ詐欺」の急増加
犯人が息子や警察官どを装って連絡し、金をだまし取る「オレオレ詐欺」など「特殊詐欺」に分類される事案は、11月末まで316件、約10億2650万円を認知。被害額は昨年から約3億2千万円増加した。
特殊詐欺のうち、オレオレ詐欺の被害は79件、約6億8800万円で、被害額は全体の約3分の2を占める。一昨年は特殊詐欺被害の1割にも満たなかったが、昨年は息子や警察官などを装った詐欺が相次いだ。
▼犯行のプロ集団、手口が年々巧妙
詐欺の手口が年々巧妙になり、新紙幣発行など最新の話題をすぐ取り入れていることを憂慮する。犯人グループは役割分担して被害者と非対面で接触し、うまくだませた手口があれば、さらに工夫を加えて成功率を高めている。
県警察本部生活安全企画課の居附竜司次長は「彼らは詐欺のプロ集団。人の心理状態などを研究し、相手に寄り添った非常に巧みなトークを展開する。また手口を次々に変えてくるだろう」とし、「投資意欲の高まりや婚活意識の高まりでマッチングアプリの普及などの社会的な動きも影響してロマンス詐欺や投資詐欺が増加していると思われる。ネット上での交友関係には警戒感を常に持ち、面識のない人から投資の誘いや、お金の話が出たら詐欺ではないかと思ってほしい。絶対に一人で抱え込まず、警察や家族に相談してほしい」と注意を呼びかけている。
▼被害に遭わないために
県警では「投資詐欺・特殊詐欺は被害者の生活手段を奪い、時には命に係わる重大な犯罪。犯罪にストップをかけたい」と今年も下記の活動に力を入れる。
1特殊詐欺被害を防ぐには、犯人からの「電話に出ない、話さない」ための対策の
・電話を留守電に設定、相手を確認してから電話に出る。
・犯人は録音されることを嫌がるため、防犯機能付きの電話を使う。
・国際電話からの犯行が急増。「国際電話不取扱受付センター」に電話利用契約の利用休止の申込みを行えば、無償で国際電話番号からの発着信を休止することができる。
・電話の回線にナンバーディスプレイ機能を利用し、知らない電話番号や電話番号非通知は出ない・鳴らないような対策を
2,コンビニエンスストアや金融機関などと連携して水際で被害を未然防止できるよう対策を
3,詐欺被害の防止に向けて、手口や特徴を紹介するチラシを配布するなど様々な啓発活動を行う。
▼今すぐできる対策
犯人側にとって、SNSは正体を隠して相手に接触できる便利なツール。予防の第一歩は、SNSでの個人情報の公開を最小限に抑えること。公開プロフィールに資産状況はもちろん詳細な職歴を載せない。SNSで知り合った人からの投資の勧誘には応じない。
物価上昇による資産価値の目減りを防ぐ対策として特に中高年層の投資意欲が高まっているが、「絶対にもうかる」「あなただけに教えます」などの言葉が出てきた時は、詐欺を疑うべきだ。うまいもうけ話など存在しないことを肝に銘じなければならない。また、詐欺師は投資を急かしたり、家族に秘密にするようせまったりして心理的な圧力をかけてくるケースもある。一人で決めず、第三者に相談し、冷静に判断する必要がある。