素材が良ければシンプルがいい!
津駅前で居酒屋を始めて30周年を迎えた。北海道や東北直送の新鮮な魚介類と、津市の地元野菜が人気で常連のファンが多い。北海道小樽の伯母が市場の仲買をしていて、ホッケ、ホタテ、カニ、北海タコ、ツブ貝と何でもそろう。「素材が良ければシンプルがいい」。三宅さんの口癖だ。.
大学は工学部で空手部。部活が生活の中心で硬派学生の典型。先輩たちの食事作りはお手のもの。このころからいつか飲食店をやろうと夢見ていた。
卒業後、大企業に就職して電気の設計管理や現場監督をしていた。飲食店をやることに周囲から猛反対され、独立したのは30代後半だった。
昭和最後の年、津駅前はまだまだ居酒屋が少なく、バブル景気のおこぼれで店の経営はなんとか軌道に乗った。「最初は体重が激減した。でも、気分が自由で、もうサラリーマンに戻りたいとは思わなかったね」。30年を振り返る表情に悔いはない。
30年間、津駅周辺も環境が激変した。大手のチェーン店が増え、経営は厳しいが、「安くて、早くて、素材を生かした料理」を売りに店を続ける。昼の「海鮮500円ランチ」は毎日ほぼ売り切れる。夜は100を越えるメニューをそろえて左党でにぎわう。
父親と兄、そして叔父も警察官。客筋もそれっぽいが、大学や県庁などが近いこともあって教育関係者や公務員の常連客が多い。後継者はいない。「やれるところまで頑張るしかない。少しでも長くやれればいい」。黙々と料理を作る姿がすべてを物語っている。
趣味はテニス、水泳。家族は夫人と長男夫婦孫2人。
■海鮮居酒屋「北海」=津市栄町3丁目290(津駅前東口徒歩2分)。電話059(225)3537。