千年以上前に創建された津市美杉町下之川の仲山神社(篠田和久宮司)で11日(祝月)、五穀豊穣と子孫繁栄を祈る奇祭「牛蒡(ごんぼ)まつり」が、地区住民総出で行われた。曇天ながら穏やかな天気となり、市内外から多くの人が参拝に訪れた。美杉路に春を告げる祭りで三重県指定の無形文化財。
 室町時代は北畠氏の祈願所として信仰を受けた仲山神社に伝わる祭りで、起源は不明。社殿では康保2年(965)に祭神「金生大明神」を勧請した。
 神前には、山椒(さんしょう)みそで味付けされたゴボウを朴(ほう)の葉で包み、お鏡とボラとともに供えられた。前葉泰幸津市長、岡幸男津市議会議長、藤本智子副議長や地元の倉田寛次津市議会議員、大野寛津市議会議員らが出席した。
 本殿祭の後、「蟇目(ひきめ)祭」があった。魁に似た「甲乙無し」の意味を持つ的を射る神事で、「お弓役」は素袍(すおう)に長ばかま、立烏帽子(たてえぼし)姿の倉田照久さんと篠田一浩さんが務めた。
 最初の矢は天長の悪魔を射り、2の矢は地久、3の矢は的、4の矢は氏子安全を祝って奉射した。2人のお弓役が古式による動作で矢を射ると、そのたびに拍手と歓声が上がった。
 続いて、「俎板(まないた)の神事」があり、包丁役の野呂裕生さんと松本卓巳さん、まな板役の野村尚生さんと廣田耕次さんが約60センチもあるボラの成魚を、手を使わず鉄の箸(はし)と包丁で見事9つに切り分けた。
本祭を終えると、参道から陰陽のみこしが登場。「わっしょい!わっしょい!」と掛け声が上がり、長い石段を杉の丸太で作った男根、ワラで作った女根をご神体として担ぎ、威勢良く駆け上った。参拝者が見守るなか、境内を3度練り回り、最後に激しく両神がぶつかり合い祭を終え、神前にみこしを奉納した。