職員が疲弊し費用対効果を考えて委託した
下里秀紀・元環境政策課長が証言
萩原慎也証人 文書は上司の指示で作らされた
資源ゴミパトロールを巡って田邊哲司元相生町自治会長に対して津市損害賠償を請求している訴訟と、津市の住民が津市長と環境部長対して、田邊元自治会長への支払は不当であり、津市長と環境部長に対し二千九百万円の損害を賠償を求める訴訟の、2つの併合裁判(竹内浩史裁判長)が7月18日(木)津地裁であり、下里秀紀(平成二十七年当時、環境部環境政策担当参事兼環境政策課長)と津市自治会問題の最終報告書で「辞めた中堅職員」萩原慎也さんの証言があった。
下里証人は資源ゴミパトロールの自治会委託について「田邊哲司元相生町自治会長の求めではなく、津市環境政策課が公正に判断して決めた」と証言。萩原証人は「あたかも田邊元自治会長の言いなりになって全てを仕切ったかのように最終報告書に書かれたのは、全く違う。所管違いの人権担当理事から命令で無理矢理文書を作らされた。土下座、丸坊主は上司の示唆だ」と生々しく証言した。
◎元自治会長の圧力はあったのか
倉田巌圓弁護士 平成26年当時環境政策課長でしたね。南米系外国人が資源ゴミを持ち去る事件があったのですか。
下里証人 平成24年頃から資源ゴミ持ち去りが発生していた。資源ゴミは市の収入減であり、住民の安全確保のためにもパトロールが必要だとの声が上がっていた。平成26年頃から持ち去りやすい23号線沿いの相生町で多発していた。
倉田弁護士 田邊元自治会長から叱責があったのか。
下里証人 平成27年1月から強化パトロールをはじめた。田邊元自治元自治会長はボランティアでパトロールしてくれた。田邊会長は夜もやるべきだと言った。翌2月に自治会が代わって変わってやろうかと言ってきた。
倉田弁護士 ほかの手段は考えなかったのか。
下里証人 津市シルバー人材センターに頼んだが断られた。課員の萩原慎一と自治会委託を検討した。
倉田弁護士 田邊元自治会長から委託せよと迫られたのか。
◎朝晩のパトロールで職員は疲弊
下里証人 早朝、夜のパトロールで課員は疲弊していた。合特事業も考えたが、費用が大きくなりすぎた。試行したが、効果が無ければ断るつもりだったが、効果はあった。
村田正人弁護士 証人が同じなので一緒にやることになった。資源ゴミパトロールの自治会委託は不当要求ではなかったのか。
下里証人 住民から持ち去り犯は恐いと声が上がり、職員も疲弊していた。
村田弁護士 計画は田邊会長とすり合わせしたのか。
下里証人 すり合わせしていない。
田邊元自治会長 自治会から要望したのか。
下里証人 費用対効果を考えて計画を作った。
田邊元自治会長 土下座を強要されたのか。
下里証人 藤本環境部長が土下座で済ましたらどうかと言われた。田邊会長から土下座を言われたことは一度も無い。
田邊元自治会長 パトロール計画は誰が作ったのか。
下里証人 萩原が原案を作り、課内で政策協議して作った。
竹内裁判長 田邊会長から圧力があったのか。
下里証人 無かった。費用対効果を検証して進めた。
◎書類作り
倉田弁護士 資源ゴミ持ち去り防止の書類はあなたが作ったのか。
萩原証人 パワーポイントの書類を作れるのは私だけなので作ったが、元の資料は色んな人が案を出して作った。
倉田弁護士 あなたが全部作ったのではないですか。
萩原証人 いつも誘導質問だ。私一人で作れるわけがないでしょう。
伊藤誠基弁護士 特定の自治会長への利益供与したの誰のことか。盆野副市長、青木副市長、荒木総務部長、南人権担当理事が田邊元自治会長にか。
萩原証人 田邊元会長に限らない。他の自治会長にもある。
伊藤弁護士 平成26年の田邊元自治会長から市長への意見書は証人が作ったのか。
萩原証人 人権担当理事に指示されて作った。
伊藤弁護士 平成27年から始まった資源ゴミパトロールをたった162人の相生町自治会でやれると思ったのか。
萩原証人 自治会の規模には関係ない。
◎裁判長も損害賠償裁判原告
資源ゴミパトロールを巡る損害賠償裁判を指揮する竹内浩史裁判官(61)は裁判官に支払われる地域手当が赴任地によって減額されるのは違憲などとして、国に減額分の支払を求める訴えを7月に名古屋地裁に起こしてる。現職裁判官が国を提訴するのは異例。証人が同じだとして住民が市長と環境部長を市に損害を与えたとして訴えている裁判と、市が田邊哲司元相生町自治会長に対する損害賠償裁判とを、合併して行う訴訟指揮に注目が集まっている。裁判の傍聴には豊田光治さん、長谷川幸子さんら元共産党市議らも顔を見せ、ほぼ満席状態となった。
津市自治会問題はまだまだ終わらない。