広々と約874坪
1坪30万円の一等地
地下に広大な津城跡内堀
津市丸之内の津警察署の跡地で、津市公用車駐車場の舗装工事が進んでおり、2月中旬に完成する。津城跡に隣接する市中央の1等地で広さは2644・88㎡(約874・34坪)もある。公用車115台を駐車するというが、「1等地に公用車駐車場とは知恵がなさ過ぎはしないか」と揶揄(やゆ)する市民もいる。
この工事の当初予算は2407万4千円。丸之内界隈は民間の事務所が多く、駐車場代は1台1万円が相場。周辺の地価は公示価格で坪単価29万円ほど。現在の市価で1坪30万円は下らないという。平成23年に津市中央公民館をこの場所に建設する計画が持ち上がったが、頓挫した経過がある。
平成11年(1999)津警察署が隣地に完成した後、旧庁舎が取り壊され平地になり、市の駐車場になっていた。市町村合併(平成18年)後、本庁舎への市民の来場が増え、丸之内は公用車専用駐車場となっている。
当初は舗装せずに砕石が敷かれていたが、最近は雨のたびにぬかるみ、晴れて風の強い日は土埃、砂埃が舞い、周囲の住民から苦情が出ていた。
津市は平成22年、跡地に市中央公民館と市社会福祉センターが入る複合施設を建設する計画を発表したが、市文化財審議会(稲本紀昭会長・当時)が23年2月に、「意見書」を中野和代津市教育長(当時)に提出し、「跡地には安濃津城跡の大きな特徴である広大な内堀を具現化できる唯一の私有地であり、この様な土地に遺構を破壊し城跡の景観を阻害する公共施設を建築することに強く反対する」と訴え、「市街地に残る貴重な歴史的資源として保存し、整備活用に向けた総合的な対策を講じられたい」と提起している。
この意見書は平成21年(2009)3月に、市教育委員会が作った「三重県指定史跡津城跡保存管理計画」の基づくもの。計画は作られたが、崩れる危機にある石垣の整備すらできていないのが現状だ。
ある民間の事業者は「丸之内の一等地に900坪近い広さ。マンション業者なら飛びつくような場所です。大きな建築物が建てられないなら、せめて2階建ての駐車場にして一般に貸し出せば、駐車場難に悩む事業所が丸之内には多いので、市街地の活性化に役立つのではないでしょうか」と話している。
舗装された駐車場は115台分の区画の線引きも済んでいる。周囲は金網で囲われ、道路側と公園側は、近々予定される本庁舎整備のための資材置場として明けられている。「何十万円分の駐車場用地がもったいない!」との市民の声が聞こえてくる。
せめて、津城趾の広大な内堀が地下に眠ることを示す説明板でも設置すべきではないだろうか。