白山町上ノ村×津市立橋北中2年生×安楽島(鳥羽)×明和町
ろうそくを通して心の交流

 夏至の6月21日(金)夜8時、一年で最も短い夜、津市白山町上ノ村地域交流団体「どーだい」と鳥羽市安楽島町地域交流団体「どーどい」、津市立橋北中学校2年生有志と明和町の有志らが「キャンドルdeつながらナイト」を実施。4つの地域の人々が同じ時刻に部屋の明りやテレビを消し、スマホを置き、ろうそくの明かりを囲み、70㌔以上も遠く離れた地域の人々のと繋がった。
 

 キャンドルナイトは平成13年(2001)米国ブッシュ政権が打ち出したエネルギー政策に対する抗議としてカナダで行わたて始まり世界に広がったスローライフ・ムーブメント。
 夏至と冬至の日に開催するのは、夏至と冬至は世界共通の日だから。
★上ノ村「どーだい」と鳥羽市安楽島「どーどい」の交流
 上ノ村地区と鳥羽市安楽島町は、2019年に上ノ村の住民が安楽島町を先進地視察したのがきっかけで交流が始まった。
 安楽島地区内のいろんな組織や個人が気軽に集まり、楽しいことで地域を盛り上げていこうという地域交流団体「どーどい」を知り、こういう連携が地域を活気づける重要な要素になると上ノ村地区でも“みんなで楽しいことを相談する寄合”「どーだい」を立ち上げた。
 コロナ禍で中断を余儀なくされたが、2022年11月に交流が再開。盆踊りに参加したり、マルシェに参加したり、冬には牡蠣の作業の手伝いに行くなど互いに行き来しながら交流を深めていった。
★「キャンドルdeつながらナイト」
 昨年6月、10月の交流会でSDGsの一環。上ノ村の成願寺で余ったろうそくを再利用してアロマキャンドル作りのワークショップを開催した。せっかくならば作ったろうそくでキャンドルナイトをし、更に交流する二つの地域をろうそくの明かりでつなごうと上ノ村が提案し開催されることになった。
 今回は、安楽島「どーどい」と上ノ村「どーだい」は,子どもたちが紙コップに溶かしたろうを入れて作ったオリジナルのろうそくが飾られたそれぞれの会場をオンラインでつなぎ、子供から高齢者までが茶や菓子を食べたりしながら和気あいあいと交流を楽しんだ。九鬼水軍太鼓会館では太鼓の演奏が披露され、オンラインで演奏を楽しんだ。
★津市立橋北中学校2年生の取組
 同校は昨年から脱炭素の取組を行っており、昨年は花植え活動や給食の残飯調査、服の廃棄をでき限り減らそうとユニクロの取組むリユース事業とコラボし、古着を近くのユニクロの店舗に届ける活動をしてきた。
 今春、2年生の総合学習の一環として上ノ村で農業体験をしたことで、同村が「キャンドルdeつながらナイト」という取り組みをしていることを知り、花植え活動、古着回収に加え、新しい取り組みとして2学年は「キャンドルナイト」に参加することにした。
 寺から余ったろうそくを譲り受け、紙コップに溶かしたろうを入れて180人分のオリジナルろうそくを作った。塾などで参加できなかった人を除く45人が参加した。参加した生徒らは「普段できないような話が出来た」と好評だった。冬至の日にもう一度参加したみたいと言う意見も出ている。
★深まる交流
 上ノ村と安楽島は共に高齢化、人口減少という問題を抱えている。また、獣害により農作物被害が増加という切実な問題もともに抱えている。
 どーだいの世話人の一人、木村和正さんは「安楽島と上ノ村は環境はまったく違いますが山が荒れると海に悪影響が及びます。日々意識することは正直少ないですが、上ノ村の自然環境を守ることは、海を大事にすることと直結します。他方、安楽島でも獣害は切実な問題になっているようです。置かれた環境、状況は必ずしも同じではありませんが、お互いに刺激しあって地域を守っていく想いは同じです。これからの交流を通してお互いのいい面を盗みあって状況に合わせて活かして行けると思います。交流が深まり、親戚のような関係になっていけたら」と話す。
 遠く離れた山間部と海辺の町。大規模災害発生時には地域単位での連携も考えられる。その点についても「防災面ではとても有効と考えてます。実際には災害時の道路事情とか課題は多いですが、避難地として対応できるようにはしたい」と言う。