74歳で亡くなった津市在住の写真愛好家・大西一正さんの遺作展が、津市岩田町の百五銀行本店ロビーで開かれている。妻の信子さんのお気に入りばかり計32点をひと月かけて週替えで8点ずつ紹介している。今月末まで
銀塩モノクロ写真で、40代から60代までの作品を中心に展示。「中部の写真家300人展」受賞作も混じる。銅板画への関心が高く、硬質で先鋭的な作品も見られる。
作品ははがれた土壁が羽を広げた鳥に見えたり、ブランコの下の水溜まりに拡がる水紋が子どもの笑顔に見えたりと、見る人の想像力をかき立てる抽象写真ばかり。来場者は「まるで問いかけるよう」と談笑しながら見入っていた。
故人の写真仲間で生前は師でもあった奥田純一氏の心遣いが遺作展の発端。信子さんは「主人の写真のよき理解者とあらためて作品世界をのぞいてみたい」と話す。