がん免疫療法について詳しく語る
様々な副作用と対処のための体制
三重大医学部病院がんセンター第12回市民公開講座
三重大学医学部附属病院がんセンターは3月21日(木・祝)、「知ってほしい・がんの免疫療法について」をテーマに、第12回市民公開講座を県総合文化センター大ホールで開催した。専門医にによる講演などがあり、参加者はがん免疫療法やがん発病メカニズムについて知識を深めた。
最初に、国立がん研究センター中央病院先端医療科医員の北野滋久氏が「進歩の著しいがん免疫療法~過去・現在・未来~」と題して話した。
北野氏は「がん免疫療法が患者自身の免疫力を利用し、がん細胞を免疫細胞に攻撃させるための治療薬を投与する」と方法を説明。「発展段階の療法であるため、免疫療法の治療薬でも十分に科学的試練を受けていないものがある。免疫が正常な細胞まで攻撃してしまうようになる副作用があり、それも患者によって軽微であったり重篤になる可能性がある」と副作用も詳しく伝えた。
がん免疫療法の時代に求められるチーム医療体制について、「従来のがん薬物療法におけるチーム体制よりも、消化器内科・外科、呼吸器内科、循環器内科、眼科など、体のより広範な部位に渡って副作用を管理する体制が必要になる」と語った。
続いて、三重大学医学部附属病院呼吸器内科副科長・病棟医長の藤本源氏が「肺がんにおける発病メカニズムと薬物治療のからくり」と題して、がんの発病から、薬物医療ががんに対してどのように働くかを解説。「早期発見による外科的な切除が現段階では最も有効」としつつも、がん免疫療法の話に絡めながら、さまざまなエビデンスを元にがんの薬物医療について語った。
講演の後、パネルディスカッションがあった。三重大学大学院医学系研究科看護学専攻准教授の坂口美和氏を座長に、パネリストに北野氏や藤本氏を交えたがん医療に携わる5人のか、がんの免疫療法についてさまざまな視点で議論した。