医療法人同心会・遠山病院
高齢者医療、腹部救急、精密ガン検診
津市の医療行政の一翼を担う

 4人に1人が75歳以上となる高齢化社会、2025年問題。地域のコミュニティホスピタルを目指し、医療法人同人会遠山病院(西村広之理事長・井上靖浩院長)は「包括ケア病床」を40床確保し、厚労省がめざす「地域医療構想」の実現に大きな一歩を踏み出した。評価の高い「腹部救急」のブラシアップ、新たな精密ガン検診と、津市の医療行政の一翼を担う病院経営に注目したい。

 地域医療の中核となる総合病院がそれぞれ特色を持って連携していく病院経営を迫られている。病院の機能分担だ。
 井上院長は「遠山病院は昔からお腹の病気で評判を取り、加藤俊夫前理事長が大腸内視鏡カメラで名をあげた。開業医の先生もお腹で困ったら相談に来られる。腹部救急は遠山が得意です。嘔吐、吐血、黄疸などまず当院に電話して下さい」と呼びかけている。
 津市には市民病院が無い。急性期の患者を扱う二次救急救命医療機関は、永井病院、遠山病院、武内病院、岩崎病院、吉田クリニック、大門病院、津生協病院、三重中央医療センターで、4月から新たに三重大学医学部附属病院が加わった。動かない救急車対策で、三重大学医学部附属病院のバックアップで大きく改善している。
 二次救急医療は三重中央医療センター、武内病院、永井病院、遠山病院を中心に動かしているのが現状だ。
 そうした中で遠山病院は「腹部救急」を一層機能強化するために、外科医を一人増やした。「高齢者医療と腹部救急は断らずに受け入れます」と井上院長は力説する。
◎高精度ながん検査
 一方でがん精密検診、予防医学にも力を入れている。「見つかった時にはステージが進んでいる膵ガンなど、精密ガン検診には力を入れています。尿だけでマイクロRNAを解析して7つのガン(大腸・肺・胃・乳・すい臓・食道・卵巣)を90%の確率でリスクを判定します。この検査は国立癌センターといくつかの大学が共同で開発して製品化して、当院でも採用しました。」と最先端の高精度ながんリスク検査を行っている。費用は6万円で、これまでのがん検診と変わらず、痛くない検査だ。井上院長が三重大学附属病院で教授時代に研究して来たもので、アカデミックな遠山病院らしい検査。「健診から、治療まで新しい手法をドンドン取り入れてます」。
 90歳、100歳でがんが見つかることもある。「超高齢でがんが見つかっても命に関わらないことが多い。手術する方が寿命を縮める。大学病院なら手術しないなら帰ってもらうところですが、サポートし続けるのが当院の務めです」。
◎在宅医療の中核に
 井上院長は「地域コミュニティホスピタルとして、なくてはならない病院になっていく」と在宅医療と遠山病院の関係を説明する。病院で最期を迎えるのでは無く、在宅医療を進めながら、地域の中核病院と連携を取りながらネットワークを張り巡らせて、在宅=訪問診療、普段は自宅療養・治療、時々入院する。医療のクオリティを維持しながら医療費を抑える。
 ドンドン増えていく高齢者の医療費を抑える為に在宅診療⇔訪問診療を普及させたい厚労省。地域医療をどうやって支えていくのか。医療行政の中核となる市民病院がない津市で、遠山病院は「在宅で困っている患者が頼ってもらえる病院をめざす」努力を日々重ねている。
◆遠山病院=津市南新町17ー22、電話059(227)6171(代表)、FAX059(225)3976。