市民公開講座健康セミナー「あなたの肝臓、大丈夫?~肝臓の最新医学とおいしい肝臓食~が16日(日)、津市羽所町のアスト津アストホールで開催された。三重大学医学部附属病院の専門医らの講演があり、参加した市民ら約200人が熱心にメモなどを取り聞き入っていた。東海テレビ放送、ギリアド・サイエンシス主催。
竹井謙之座長(三重大学大学院医学系研究科消化器内科学教授)は「肝臓は沈黙の臓器と言われ、肝硬変や肝臓ガンになりますが、今は、大きく治療が進んでいます。B型肝炎は押さえることができるし、C型肝炎は治ります。脂肪肝は食事で改善できる。志摩サミットで志摩観光ホテルのグランシェフとして活躍された宮崎英男シェフがおいしい肝臓食を紹介していただきます」とあいさつした。
最初に、杉本和史三重大学医学部附属病院中高検査部講師が「鎮めろ!B型肝炎」と題して講演。「B型肝炎ウイルスは感染力が強く、血液や体液を介して感染する。母子感染は現在は生まれたときにワクチンを接種するので激減した。完全にウイルスを排除することは難しく、薬で炎症を押さえ込むことができます。インターフェロンは泥棒の制圧に大砲を使うようなもので、ウイルスだけで無く、肝臓も破壊します。今は、良い薬が出ています」とユーモアを交え解説した。
長谷川浩司三重大学医学部附属病院肝炎相談センター副センター長「治そう!C型肝炎」をテーマに、「C型肝炎ウイルスは感染力が弱く、初期は自覚症状が無いため、症状が出るときには肝硬変、肝がんの以ケースがある。80歳代以降の人は輸血などで感染しているケースが多い。県内に約2万人の患者がいると予想されるが、半数の1万人は観戦していることを知らないと考えられる。抗体検査で直ぐ感染が分かるので、早期発見、早期治療すると100%治る。直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が登場して、治療が著しく改善されました」と最新医療を説明した。
岩佐元雄三重大学医学部附属病院消化器・肝臓内科病院教授は「減らせ!脂肪肝NASH」を演題に、「肝臓に脂肪が貯まった状態になるのが脂肪肝で、アルコール性と非アルコール性がある。食べ過ぎ、飲み過ぎによる肥満が原因の脂肪肝が増えている。大半が無自覚で、肝生検しか検査法方法が無い。国内に脂肪肝は1000万人と推定され、進行中の脂肪肝は100~200万人と考えられている。治療は厄介だが、体重の7%減量が効果的」とメタボに警鐘を鳴らした。
続いてシンポジウムがあった。宮崎英男志摩観光ホテルシェフが「肝臓病や糖尿病の患者さんのためにグルメdウェカル教室を三重大学附属病院内で開催している。油を使わなくても野菜や果物や酢を使って、工夫すればおいしい味付けができ、カロリーを抑えることができます」と料理の映像を流しながら話した。
パネリストとなった各講師は、会場からの質問にていねいに答えていた。