フェニックス通り駐車場を(株)センターパレスに売却へ
津市が市議会全員協議会で説明
民間のノウハウでサービス向上!?
売却予定価格は1億円前後

 津市議会は8月8日(木)市議会全員協議会を開き、「フェニックス通り駐車場の今後の方向性について」執行部の説明を聞いた。旧津市役所跡地に津センターパレスビルと共に昭和60年(1985)オープン。第三セクターの株式会社津センターパレスに約1億円で売却交渉する。昨年4月、津市センターパレスホールを約1170万円で売却しており、市が持て余した老朽施設を第三セクターに押しつけるだけではないかなどと、市議会議員5人から厳しい指摘が相次いだ。
 執行部の説明ではフェニックス通り駐車場は地上8階9層の鉄骨造り。駐車台数は161台。建設から39年が経過し、令和3年度に3億2000万円で大規模改修を計画していたが、コロナ禍のため延期した。令和5年度は12万8999台の利用があった。
 コロナ禍で経営が悪化したが、4年度は常駐管理を廃止するなどして300万円、5年度は1036万円の純利益を出している。
 今後の収支見込みは、大規模改修が先送りできない状況だとして、7年度に大規模改修すると8年度以降減価償却が1350万円増え、事業費用が急増。改修費用を事業債など償還期限10年間、3億円を借り入れると、9年度から18年度まで毎年3300万円を償還することになり、経営負担が急増するとしている。
 市としては津センターパレスの利用者をはじめ、大門・丸之内地区は駐車場需要があり、都市計画駐車場は存続する必要がある。このため①直営の継続②指定管理者制度の導入③PFI(RO)の導入④民間への貸付⑤民間への売却ーを検討した結果、「民間への売却」が、大規模改修の費用を負担することなく、需要に対応し、民間活力導入の高い効果が期待できる。建物売却収入を得られた上に、ビルの固定資産税収入などが得られるとしている。市が所有する土地は売却せず賃貸契約を結ぶ。
 市の直営は、駐車場経営のノウハウのない職員が運営するため、専業の事業者に比較して効率的な経営が困難で、事業費が高額になり、サービスの質が劣る可能性があるとしている。
 (株)津センターパレスは津市が26・6%の株式を保有する筆頭株主。代表取締役社長は前葉泰幸津市長、代表取締役専務は藤牧和弘氏(元商工観光部長)。役員に市職員OBが代々天下り。昨年5月には、開業以来の唯一の飲食店・カニ料理「オホーツク」が撤退し、1階のスーパーマーケット跡は空きのまま。4階の一部を除き、市の中央公民館、津市社会福祉協議会など外郭団体が多数入居し、あたかも「津市役所東庁舎」となっている。
 主な質疑は次の通り。

◎三セクに財産を移すだけではないのか
 田矢修介議員(希望の風) 第3セクターである(株)津センターパレスに老朽化した市の財産を移転するだけではないのか。
 商工観光部長 民間事業者の新たなノウハウでサービスの改善、新たな技術導入も行っていただく。継続的に活用していただける施設ではないか。単なる財産の所有を移すだけではない。
 田矢議員 売買価格はどのように考えているのか。
 商工観光部長 不動産価格鑑定士の鑑定を行い、市が予定価格を決める。フェニックス通り駐車場の帳簿価格は9492万4千円なので、これに近い価格になるのではないか。
◎東南海地震に耐えられるのか
 青木秀晃議員 東南海地震に耐えられるのか。
 商工観光部長 昭和60年(1985)の建設なので、耐震はクリアしていると考える。
◎市が整備すべき
 滝勝弘議員(日本共産党津市議団) 駐車場の建設目的である商業の発展に効果があったのか。
 商工観光部長 民間の駐車場業者に貸し付ける可能性があるのか。
 滝議員 料金が高くなる可能性につながりはしないか。
 商工観光部長 売却条件に、駐車料金は現行の駐車料金体系を基本とした料金設定をするとしている。
◎難しい事業ではない
 岡村武議員(至誠会) 減価償却が出ているが津市は税金を払っているのか。
 商工観光部長 資産税、法人税は払っていないが、消費税は支払っている。
 岡村議員 民間活力は、行政の方が自力はある。
 商工観光部長 行政ではできない新しい発想ができるのではないか。
 岡村議員 駐車場事業で年間1000万円の利益があったら御の字だ。難しい事業ではない。きれい事を言うな。
◎出来レースだ!
 八太正年議員(自由民主党市議団) 敷地には一切関係がないのか。
 商工観光部長 建物売るので、土地は売りません。
 八太議員 建物だけなら買うものは限られてくる。正当な売却ではない。出来レースに思われる。大門全体の発展を考えるべきだ。