津市美杉町多気の伊勢国司之宮「北畠神社」(岡みどり宮司)で5日(金・祝)、春季大祭が行われた。神事の後、拝殿前で草深晶藤氏の篠笛の新曲「来たる時」、柳生新陰流兵法の「三学円之太刀」(古式)、宝蔵院流槍術「表一・三・四・五・七」が奉納された。奉納行事は3年ぶり。
最初に、草深晶藤氏と篠(しの)笛の会「藤笛会」が「飛行機雲」「鯉のぼり」「夏は来ぬ」「荒城の月」を演奏した。伸びやかで凛(りん)とした音色が周囲に響き渡った。
宝蔵院流槍術は約470年前、奈良の興福寺の子院「宝蔵院」の院主・覚禅房胤栄が創始した棒術。他の槍術に比べ細く短い約2・7メートルの槍を使う槍の中の「小太刀」。円錐、入り身、鎌を駆使した攻防一致の極意がある。熱のこもった演武が披露された。
柳生新陰流兵法とは新陰流兵法流祖の上泉伊勢守藤原信綱は北畠具教卿を訪ね柳生石舟斎宗厳を紹介された。棒術の宝蔵院胤栄の立ち会いものとで、石舟斎は流祖の弟子となり、印可を受けた縁がある。道統は尾張柳生家に伝承された現代に至っている。奉納演舞は「三学円之太刀」「試合勢法」「九箇の太刀」「燕飛之太刀」が披露された。
拝殿前は多くの観光客、参拝客が取り巻き、篠(しの)笛の音色に聞き入り、変幻自在の兵法の演舞に見入っていた。